「あの………」 「なに?」 「ヨコヤ、さんでしたよね?」 「なにかな? カンザキナオさん。トランクの中身なら」 「見えてるんですよね? 透視してるんですから」 「………見えるよ、勿論」 「じゃああの、コールするまえに、一つだけお願いがあるんです」 「お願い? 悪いけど、見逃して欲しいなんて言われても無理だよ? これゲームなんだから」 「分かってます。私がお願いしたいのは、そんなことじゃなくて」 「じゃあ、なに?」 「………触らせて欲しいんです」 「………………………触る?」 「その、ヨコヤさんがずっと連れてるネズミさんです! 触らせてもらえませんか!?」 「ええと、カンザキナオさん」 「もう、ずっとずっと気になって気になってしょうがなかったんです! 私、家の事情で動物を 飼うことはできなくて、小学生の頃は生き物係をやってハムスターとかうさぎの世話をして、そ れで我慢してたんですけど………」 「あのねこれは、ハムスターじゃないよ」 「わかってます! そう言うの詳しいんですよこれでも!」 「それで、触りたいわけ? 君って変わってるね、女の子は普通」 「はい! 触りたいです! ダメですか!?」 「………」 「あ、待ってください! ダメです! まだコールしちゃダメです!」 「あのね、手を離してくれないかな」 「私のお願いを叶えてくれたら、離します! ネズミさんに触らせてください!」 「そういうのはゲームの後で」 「だめです、今触りたいんです! お願いですヨコヤさん!」 「だから」 「触らせてください!」 「なにやってるわけ、あの二人」 「ナオちゃん、ヨコヤにすごい勢いで迫ってるけど」 「………………」 「あんた、なに笑ってるのよアキヤマ」 「いや、ヨコヤの奴、きっと困ってるだろうと思っただけ」 「困る?」 「あいつが?」 「ナオちゃんに?」 「いくらあいつに透視が出来たとしても、こればっかりはどうしようもないだろうしな」 「じゃ、アキヤマはナオちゃんが何をヨコヤに言ってるか分かってるってことかよ」 「何してるわけ、彼女」 「ネズミさ」 「は?」 「触らせてくれとか、言ってるんじゃないの?」 「ええ!?」 「まさか」 「馬鹿いってんじゃないわよ。女ってのはああいう生き物は苦手なもんでしょ」 「普通はね」 「触らせてください、ヨコヤさん! 何も一匹下さいなんて言ってません!」 「あのね、ボタンの上からどいてくれないかなカンザキナオさん」 「ネズミさんと交換条件です!」 「だけど、彼女は普通じゃないからね」
1がめちゃめちゃシリアスだったのに、今度はこれか、ですみません。 原作版のヨコヤンのネズミが気になって気になって(笑) ちなみに、このヨコヤンと直ちゃんの、 アホネタはもう一つ思いついています。 そのうちアプします………ええ、殆ど嫌がらせだと分かっていますとも!