要注意 @秋山さんは絶対カッコイイ! と思われて折られる方は回れ右。 Aヨコヤさんはミステリアス、カッコイイ、と思われている方も同じく回れ右。 B直ちゃんは素直で可愛い優しいいい子、だと思われている方もやっぱり回れ右。 これから先は、キャラクターが皆さん色々、大変なことになっております。 なにがあっても笑って赦してやるさ、という太平洋の如き心の広さのある方のみ、 お進み下さい。 好奇心は猫を殺しますよ! 書いた本人は、めちゃめちゃ楽しかったのですが、 責任はイスカンダルの彼方へ(うわあ、懐かしい)砲丸投げで捨てました。 なので、読まれてご不満をお持ちになられても、 一切責任は取れませんので、ご了承下さいませねー(おい) ヨコヤノリヒコは、扉を開けて入った途端に、そのままくるりと踵を返して元来た方向へと さっさとトンズラしたい衝動に駆られた。 少なくとも、気持ちはとっくにそれを実行していた。 ただし、現状がそれを赦すわけもなく、仕方なしに、本当にイヤイヤながらも、定められた 席に腰を下ろす。 すれば。 「………あの」 「ネズミは、連れてきてないから」 「見れば分かります。残念ですけど」 直はじいっとヨコヤの姿を上から下まで遠慮なく見入ってから、とてもとても残念そうに溜 息を落としながら言った。 「また、あの子たちに触りたかったな………」 ヨコヤが、ネズミを置いてきたことを心底良かったと思ったのは当然だろう。 そして、非常に落胆した様子で俯いた直を、ちらりと見る。 するとなぜか、またしても直はまっすぐと、それはもう穴が開いちゃうからやめてくれない かなあと言いたくなるくらいに、じいいいいっと、ヨコヤを見つめていた。 というか、見つめるを通り越して見据えるに近いかもしれない。 たじろいだ。 こんなことあるとは自分でも信じられないのだけれども、ヨコヤはたじろぐあまり、ガタン と椅子を後ろに少し引いてしまった。 信じられないことに、うろたえてしまったのだ。 いかんいかん、とヨコヤが己を叱咤していたかどうかはさておき。 直はひたすらヨコヤを見つめていた。 それは少なくとも、恋する乙女のそれでもなけれな、憎い相手を睨みつけるものでもなく。 なんというか、ひたすら、何かを見つけ出そうとする、好奇心のような視線で。 「………………あの………………」 そして十分という持ち時間がそろそろ半分を切った頃。 ようやく直が口を開いた。 「一つだけ、聞いていいですか」 「………なにかな?」 だめ、と言っても、多分聞いてくるだろうと分かっていたので、ヨコヤは渋々ながらもそ う応じる。 「私、あなたのことずっと、他の人たちとは何かが違うなって、思ってたんです」 「へえ?」 「それがずっと気になってて………秋山さんにもそれを言ったら、よく観察してみたらって 言われて………ずうっと見てたんです、ヨコヤさんのこと」 「………それで?」 聞きようによっては、恋の告白っぽい感じがしないでもないのだけれども。 いかんせん、直の表情がそれを裏切っていた。 どうみたってそれは、もんのすごい『好奇心』の塊なのだ。 まるで目新しいものを見つけてしまった子供のように、少しキラキラしているようにも見 えて、それがますますヨコヤの笑顔を引き攣らせる。 この子、絶対ヤバイ。 と思っていたかどうかはともかく。 「それでですね、私、気がついたんです。ヨコヤさんが他の人と何かが違うって感じた理由 を!」 あ、聞きたくないな、と思ったヨコヤのそれは、恐らく正しい予感だったに違いない。 たとえその予感が、なんの役には立たないものだったとしても。 「なに、なにがあったんだ?」 「うわ、俺初めて見た。椅子ごと真横に倒れる奴」 「コントとかでしか見ないよなあれ」 「ヨコヤ、起き上がれないぜ」 「直ちゃん、今度は何言ったんだよ、ヨコヤに」 「分かるわけないだろ。あの子の思考回路、全然わかんないんだから」 「ネズミ、触りたがるくらいだもんなあ」 「相変わらず訳わかんない子ね………って、どうしたのよアキヤマ」 「………悪い、ちょっと」 検査ルームで起きたプチコント【ヨコヤ椅子ごとすっ転ぶ】の光景に気を取られていた南 の国の面々から、すうっと一人抜け出した秋山に気付いて、フクナガが声をかければ、向こ うを向いたままで秋山は手をひらひらと振り、そのまま部屋を出ていてしまう。 いまだぶっ倒れているヨコヤと、その傍らで心配そうに覗き込んでいる直の姿も気になる が、一度もこちらを向かなかったその姿に何事なのか、と南の国のメンバーは誰もが気にな って互いの顔を見合ってしまった。 一応、今この南の国において、リーダー的存在でありかつもっとも信頼出来るブレインの 秋山にもしも不調が生じているのであれば、それは由々しき問題だ。 「俺、ちょっと見てくるよ」 フジタが軽く手を上げて、メンバーを代表して様子を確かめるべく秋山の後を追って部屋 出て行った。 「あー、まだ立ち直れてないぜ、ヨコヤ」 「てかさ、なんか青褪めてね?」 「あ、フジタが戻って来た」 そして、戻ってくるまでの時間は、およそ一分ほどか。 「どうだった? アキヤマの奴、大丈夫そうだったか?」 「うん………ていうか………」 「なんなのよ、じれったいわね」 「それがさ、アキヤマさん、笑ってたんだよ」 「………はあ!?」 その場にいた全員が、異口同音に室内に轟かんばかりに、叫んだ。 無理もないだろうが。 「わ、笑ってる?」 「アキヤマが?」 「それって、あの、含み笑いとか、そういうんじゃないのか?」 「違うんだ………ええと、信じられないんだけどさ、壁に向かって我慢できませんって感じ で、どんどん叩きながらさ」 大笑い、してた。 声は出してなかったけど、ていうか、笑い過ぎて声にならないって感じで。 「冗談」 「じゃないんだ、俺も、信じられないけど」 と、フジタが言った途端に、他の六人のメンバーが部屋を飛び出していったのは、なんと いうかまあ、予定調和というところ。 そして取り残されたフジタが振り返れば、検査ルームから、妙に力尽き果てた感じでがっ くりと肩を落とした背中を見せて、ヨコヤが出て行くところだった。 ちなみに、密輸が成功したかどうか、阻止が成功したかどうか、ゲームで一番大事な部分 が完璧に蚊帳の外に放り出されていたことに、ここに至っても誰も気付いていない。 「うちのチームに、フクナガさんていう人がいるのご存知ですよね? あの人、すごく綺麗 なんですけど、ニューハーフなんです。ちょっと信じられないですよね! あんなに綺麗な のに男の人だなんて。それを知ったときはすごく驚いたんですけど、でもですね、それで、 分かったんです。ヨコヤさんから違う感じを受けた理由」 口を挟む隙なんて、そこには微塵たりもあるわけもなく。 「ヨコヤさんも、フクナガさんと同じなんですよね!?」 「同じ………って、あのね、ええと、カンザキナオさん」 「隠さなくってもいいんです! 分かってますから! ヨコヤさん、絶対お化粧とかしたら フクナガさんにも負けないくらいに綺麗だと思いますよ! 和風な感じの美人に絶対なると 思うんです! 他の人とはちょっと違う感じがしたの、そういうことなんですよね!」 「………………………」 もはや、走り出したカンザキナオは止まらないのだ。 「ヨコヤさんてニューハーフさんなんですよね! 」 ガッターン、とまさにコントのように、ヨコヤが座った椅子ごとぶっ倒れるのを南の国の 面々は目撃したわけだが。 秋山が、読唇術に長けていたことは、この後に発覚することになる。 そして直がヨコヤに喰らわせた天然カウンターパンチの正体についても、明らかとなり。 「あれと、私をいっしょにするなぁぁぁぁぁぁ!!」と。 フクナガが大魔神と化すことも、まあ要するに。 予定調和? 「面白いですねえ、南の国のメンバーは」 「お笑いをやらせたら、けっこういい所までいける気がしますねえ」 呑気なのはレロニラさんとネアルコさんも、同じであるらしい。 どうなる、ライアーゲーム、第三回戦。 お笑いの道は、けっこう近そうだ。
すみませんすみませんすみませんすみません。 ヨコヤンのアップを見たときに、一重瞼で、めっちゃ芸子さん風だよなあ なんて思ってスミマセン。 これで綺麗にお化粧なんかしたりして、そんでもって着物なんて着たら 似合いそうだよなあ、なんて思ってスミマセン。 秋山さん、意外に原作だと笑う人だと思って………スミマセンスミマセン。 直ちゃんの天然ぶりがアホに近くなってしまって、スミマセン。 とにもかくにもスミマセン!!